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【共同研究提案】p53野生型脳腫瘍(およびその他の悪性腫瘍)におけるGRWD1発現量検査による予後推定、治療方針決定に向けた共同研究提案

2017/01/17

我々は最近新たながん遺伝子GRWD1を発見しました(Kayama et al., EMBO Reports e201642444)。
一般に、がん細胞においてはp53の変異が頻繁に起こっていることが知られていますが、一方でp53に異常の無い場合も多く認められます。今回、GRWD1がRPL11(現在重要ながん抑制因子と考えられている)との結合を介してp53タンパク質量を減少させ、細胞のがん化を促進させることを明らかにしました(図1)。
さらに重要なことに、がん患者のデータベース解析から、幾つかのがんの種類においては、GRWD1タンパク質量の増加はがんの悪性度を上昇させ、予後不良の予測因子となり得ることを発見しました(図2、3)。
特に、低グレード脳グリオーマ患者においては、p53変異型患者の場合はGRWD1の発現量と予後の相関は
認められませんが、p53野生型患者の場合はGRWD1高発現が予後不良と高い相関を示しました(図2)。
もしこのような相関が、実際のがん臨床サンプルの免疫染色によるGRWD1発現検査で明確に示されれば、
GRWD1発現検査によるがん治療方針のより適切な決定につながることが期待できます。そこで、そのような臨床研究に興味を持っていただけるアカデミア研究者との共同研究を提案させて頂きます。

共同研究にご興味のある先生がいらっしゃいましたら下記連絡先までご連絡下さい。
【お問い合わせ:nw-info@med.kyushu-u.ac.jp 092-642-4787(塩塚)】
*p53変異の有無は、変異によるp53タンパク質安定化から、免疫染色によりある程度簡便に推定することが可能と予想されます。
図1・2・3