メールマガジン

ARDENTメールマガジン vol.3 (2014.05.27配信)

2014/05/27

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        ARDENT メールマガジン vol.3
             2014.05.27

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トップページへ http://ardent-j.org/
若葉が初夏の日ざしにまぶしくかがやく季節となりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

第3号メールマガジンの配信です。

◆今号でお知らせする内容です。
┣【1】コラムリレー
┣【2】イベント・シンポジウム情報
┗【3】補助金公募情報

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【1】コラムリレー
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産学官連携・臨床試験に関わる話題を中心に様々な先生のコラムを掲載します。

第3回目は、
九州大学大学院医学研究院 准教授 岸本 淳司 先生に
ご執筆いただきました。

岸本先生は、
生物統計学の権威で、学内外に於いて精力的に活躍されています。

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            第3回 コラム 
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 臨床試験の症例数を決めるために、よく「検出力」という言葉が登場します。
これは統計的検定に関連した概念なので、検定で評価する予定のない調査研究では
使えません。調査研究で例数設計をするためにはどうすればよいのでしょうか?

 昔テレビで「トリビアの泉 ~素晴らしきムダ知識~」という番組がありました。
雑学ネタを紹介し、確認VTRで検証するというものです。ところでトリビアの確認
調査するのに、「何人調べたらいいのか?」という疑問が起きます。トリビアの泉で
は、その問題を青山学院大の美添泰人教授(日本統計学会会長)にインタビューして
いました。すると美添教授は必要な例数を答えるわけです。これはいったいどういう
理屈なのでしょう?

 たとえば「現安倍政権を支持しますか?」という質問をして「はい」か「いいえ」
かのどちらかで回答してもらうとします。50人に質問して10人が「はい」と答えると
支持率は20%です。1600人に質問して320人が「はい」と答えても支持率は20%です。
支持率の数値は同じでも、後者の方がずっと信頼できる結果と考えられるでしょう。
この信頼性は支持率の推定値に幅をつける区間推定という方法で評価することができ
ます。

  上のように2つの値をとる変数の場合、二項分布という理論分布がよく使われま
す。二項分布の信頼区間は、正規分布の近似で求める方法が簡単です(正確に計算す
る方法もあります)。
p:標本から計算した「はい」の割合
n:標本の大きさ
1.96:正規分布の両側5%臨界値(通常この値が用いられる)

            p±1.96√(p(1-p)/n)
この式により、50人中10人の支持率は実際は0.089から0.311の間に、1600人中320人
の支持率は実際は0.180から0.220の間にあることがわかります。この方法から逆算し
て、まず必要な精度を決めておいて、その基準を満足する標本の大きさ(n)を求める
ことができます。

  ところでこの方法には欠陥があります。標本から計算した支持率pは、それを知ら
ないからこれから調べるわけで、調査前にはわかりません。pの値によって信頼区間
は変わってきます。そこで、一番信頼区間が広くなるp=0.5のときの幅を使うことに
しましょう。さらに、正規分布の両側5%信頼限界の1.96は、これを2とみなします。
すると、信頼限界の式はこうなります。

              p±√(1/n)
すなわち、±5%程度の精度が必要なら例数は400、±2.5%の精度が必要なら1600の例
数が必要ということになります。実際、新聞やテレビの世論調査では、1600を基準と
して、無効票を考慮して2000例のサンプルをとるくらいが標準的です。この計算には
母集団の大きさはほとんど影響を与えません。

  社会調査と違い、臨床研究ではなかなか2000例もとることはできません。でアン
ケート調査の研究では、回答の点推定値だけに注意を払いがちですが、現実にはかな
りの推定誤差を含むことを見込んでおきましょう。

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【2】イベント・シンポジウム情報
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名称:BIO International Convention 
日時:2014年6月23日~6月26日
場所:米国・サンディエゴ
URL: http://convention.bio.org/
★世界最大のバイオイベント
 九州大学病院ARO次世代医療センターが出展します。

名称:第2回TR推進合同フォーラム 
日時:2014年10月23日
場所:九州大学病院
URL: http://ardent-j.org/TR1023.pdf
★ニーズとシーズのマッチングを図るライフサイエンス技術交流会も同時開催

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【3】補助金公募情報 (6・7月締切分)
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公募案内の詳細情報・その他公募情報は、
ARDENTホームページ( http://ardent-j.org/ )に掲載しております。
ぜひご覧ください。

(1)
研究助成プログラム 『アストラゼネカ・R&D・グラント』2014 年度公募案内
公募締切:平成26年6月2日

(2)
CREST・さきがけ平成26年度研究提案募集
公募締切:CREST/ 平成26年6月10日正午
      さきがけ/ 平成26年6月3日正午

(3)
公益財団法人柿原科学技術研究財団 科学技術研究助成事業募集概要
公募締切:平成26年6月6日

(4)
第一三共株式会社 創薬/技術研究シーズ募集
公募締切:2014年6月16日9時

(5)
公益財団法人 住友財団 2014年度基礎科学研究助成について
公募締切:平成26年6月30日(※データ送信6月23日締切)

(6)
平成26年度大学発新産業創出拠点プロジェクト(プロジェクト支援型)の
公募について
公募締切:平成26年7月7日正午(第2サイクル)

(7)
公益財団法人 かなえ医薬振興財団
平成 26 年度アジア・オセアニア交流研究助成金
公募締切:平成26年7月31日

(8)
公益財団法人 内藤記念科学振興財団 2014年度助成金事業のご案内
公募期間:課題により締切が異なるため、
ARDENTホームページよりご確認ください。

★ メール配信の停止、配信先の変更をご希望の場合は、
 下記ARDENT事務局までご連絡ください。

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九州大学病院 ARO次世代医療センター 
ARDENT事務局 
〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1
TEL :092-642-5080
FAX :092-642-5124
E-mail:info@ardent-j.org
URL: http://ardent-j.org/
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